広報誌同友にいがた
2025年8月号

新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 8月号 Vol.447
2025年8月号
新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 8月号 Vol.447
■表紙
ストーリーとともに醸す
街なかのマイクロブルワリー
【沼垂ビール株式会社 代表取締役】
高野 善松 氏 新潟支部セントラル地区
■Contents
◇PEOPLE LIFE data No.060
未来を創る! 新潟の企業家たち
クラフトビールを通じて
地域のにぎわい創出に寄与したい
高野 善松さん 沼垂ビール株式会社 代表取締役
◇支部・委員会・部会活動報告
それぞれのテーマを専門的に学び、問題を解決!
村上支部/新発田支部/食部会/経営労働委員会
◇新入会員紹介
◇私とお話しませんか?会員交流の館 vol.23
◇ANOTHER REPORT
例会や行事の報告など、
情報共有の場としてフリーテーマで同友会の情報を発信します。
6支部合同「中小企業家」経営者大交流会
『君は一歩を踏み出せているか?』開催レポート
- PEOPLE LIFE data
- 委員会・部会活動
- 新入会員紹介
- 会員交流の館
- ANOTHER REPORT
激動のキャリア遍歴
新潟の大学を卒業後、15年ほど大阪や東京で銀行員として働き、最後の2年間は新宿で支店次長を務めていました。理念や信念をしっかり持たれている、すばらしい中小企業の経営者の方々に感銘を受け、私も何か好きなことをやってみようと思い立ち、銀行員時代に中小企業診断士の資格を取得。38歳の時に退職し、中小企業の新規事業開発・資金調達や、経営改善計画などのコンサルティング会社を設立しました。その後、中野サンモール、阿佐ヶ谷パールセンターといった商店街やショッピングセンターの立ち上げに従事。行政との付き合い方や補助金制度などを学びながら街づくりに関わり、また銀行を対象としたコンサルティングやベンチャーファンドなどいくつもの仕事を掛け持ち。さらにこれまでの知見を活かし金融系やマネジメント系の実務書を何冊も出版するなど多忙を極めていたある日、突然脳梗塞で倒れてしまいました。
そして東京でのハードな日々に見切りをつけ新潟に帰郷。さて、この年齢で地元に戻りどうやって食べていこうかと思案していたちょうどその頃、世間ではクラフトビールが注目され始めていました。私が生まれた地元 沼垂は、発酵食品の蔵元が集まり、昔から醤油・味噌・日本酒づくりが盛んな町でした。そこで私は、この「発酵の町でつくるクラフトビール」をコンセプトに、60歳でビジネスを始めました。もちろん、最初はビールづくりの知識も技術もまったくありませんでしたが、これまで新規事業の立ち上げや多くの新しい仕組みづくりに携わっていましたので新しいことを始めることに躊躇はありませんでした。早速、東京のベンチャー系ブルワリーで醸造技術を習得し、2015年2月に沼垂ビール株式会社を設立。2016年に醸造免許を取得し醸造を開始しました。必要な設備機械の調達・設計・配管工事は試行錯誤しながら自分で行い、2020年に新たなマイクロブルワリーの建屋を建てて設備も少し大きくしました。そして生家をDIYで改装した、この街の風情に合うレトロなビアパブを併設。昨年、2024年3月には「100年続くクラフトビール蔵を造りたい」というテーマでクラウドファンディングを実施し、皆様からの温かい支援により目標金額を達成。「ものづくり補助金」も得て、新たに大容量の醸造タンクも導入し稼働開始。おかげさまで地域密着型のクラフトビール醸造事業を始めて今年の3月で創業9年目を迎えることができました。
地域コミュニティーの大切さ
これまでのキャリアで、商店街コンサルティングという立場で街づくりに携わり、さまざまな地域を見てきて思ったのは、賑わっているところは、前提として地域自治の組織やコミュニティーがしっかりしていること。これは私の造語ですが、これからの地域ビジネスのあり方として、B(メーカー)to C(コミュニティー)to C(カスタマー)というコミュニティーづくりを意識した経営が肝になってくると考えていました。経済がちゃんと回っているところには、人が集まる「場所」がある。沼垂ビールに醸造場とビアパブを併設したのも、地域のたまり場、いわゆる茶の間事業の一つとして、ビールを造るだけでなく、ここで造ったビールを、ここで楽しんでもらえる「場」づくりが、この街のコミュニティーのにぎわいに少しでも寄与できるかなと思ったからです。
そして、人が集まるコミュニティーの枠をもっと広げたいという想いで、現在は、毎年秋に古町で開催している県内ブルワリーが一堂に集結するビアフェス「新潟オクトーバーフェスト」の実行委員長を務め、お客様・生産者・加工事業者・ビール醸造家・飲食業者らが大勢集まる場づくりにも取り組んでいます。
同友会について
同友会は、新潟支部ウエスト地区のアトリエプルトワ 山田育永さんのご主人と私が学生時代の同級生というご縁で、山田さんから紹介いただき昨年2024年12月に入会し、同時に食部会に入りました。
そして、入会まもない年明け2025年の新年会で、ソーシャルビジネス部会に所属されている柏崎支部のなにわ茶屋 奥野さんと出会い、それをきっかけに事業連携することになりました。十日町と六日町の福祉法人の方々が採取されたフキノトウを使った、当社として初めての素材による新商品を現在開発中で、来月発売に向けて動いているところです。
今後の事業展望
創業からここまでの10年間、七転八倒しながら少しずつ設備を整え、一つひとつ心を込めて地元の食材を使った商品を開発してきました。しかし、まだまだスタートラインに立ったばかり。「100年続くクラフトビール蔵を造る」という夢の実現と、新潟に想いを寄せる皆様の笑顔あふれる場所であり続けるために、もっと商品のクオリティーを上げ、醸造規模を拡大していく必要があります。将来を見据え次世代にバトンタッチする責務とともに、引き続き応援していただく皆様とのつながりを大切にしながら挑戦し続けていきます。
沼垂ビール株式会社
代表取締役 : 高野 善松 氏(新潟支部セントラル地区)
事業内容 : クラフトビール醸造販売・飲食業・マイクロブルワリー事業化支援
住所 : 新潟市中央区沼垂東2-9-5
TEL : 025-383-8720
創業 : 2015年
従業員数 : 6名
今年度より村上支部長を仰せつかりました㈲能登新代表の山貝誠です。当社は村上の地にて安永6年1777年創業の料亭で「ふるさとの宝で世界を口福にする」を理念に営んでおります。同友会歴は8年目になりますが大役を引き受けるにあたり、村上支部指針を作らせていただき「圧倒的ふるさと再興」を理念とし邁進しております。
6月号の抱負の漢字を「紡」にした理由は、同友会の紡がれた歴史に感謝し、これからの未来を私たちが創り、想いを紡いでいけることへの感謝を表現したいと思ったからです。
村上支部は、4つの委員会で構成し、同友会の王道の例会づくりを目指し、多くのメンバーが関わっております。例会づくりから多くの学び方を学べる機会があることで、成長できる機会が沢山あると思います。企業訪問、プレ報告を経てから、例会の設えもZoom併設のハイブリッド例会にしているので、県内外から沢山の方が参加できる設えです。
今後も支部だけでなく合同例会や納涼会、賀詞交歓会などの例会を企画しておりますので、是非多くの方にご参加いただければ幸いです。
夢が添加できるふるさとに近づけるように、楽しみながら学んで自社経営の発展に寄与いたします!
村上支部長 山貝 誠(㈲料亭 能登新 代表取締役社長) 記
新発田支部は2005年1月に設立され、本年で20年を迎えます。記念すべき節目の年、支部方針として新潟同友会NDGsより次の3つを掲げます。第一に「リーディングカンパニーの創出」。例会づくりを通じて経営者として成長し、「私も入会したい」と思われる支部を目指します。経営指針成文化と実践の会の参加者と共に、自身を掘り下げ今の世に求められる企業づくりに取り組みます。第二に「住みよい地域を作る」。新発田市のまちづくり総合計画をもとに、市政との共通課題を抽出し10月に議会や職員の方々と課題解決を探る例会を開催します。第三に「最先端の学び」。9月には㈱弘新機工の渡辺社長を招き、残業ゼロでも好業績をあげる仕組みや主体的な職場づくりを学ぶ例会を実施。さらに11月の経営フォーラムでは下越南支部、村上支部と連携し、新しい形のフォーラムをつくり上げ、同友会外にも影響を広げます。
大きな行事の多い一年となりますが、支部内は本心を語り合い、互いに許し合える安心安全な空間づくりを心がけます。最後に、私の今年の一字は「徹」。同友会の基本に立ち返り、当たり前のことを特別熱心に、徹底的に実行します。
新発田支部長 新井田 慎(㈱新井田塗装店 代表取締役) 記
食部会では、食に関わる会員企業が集まり、それぞれの仕事を話し合い、企業間コラボや課題の解決に繋げています。
6月は、広島同友会㈱EVENTOSの川中さんへ企業訪問を行いました。関わる地域の問題や課題に会社全体で向き合いつつ、経営もしっかりとしていくことで、双方良しの関係を築いているということに大きな刺激を受けました。事業を絡めた地域活性が、地域に認めてもらうことが絶対に必要なんだと感じることができました。参加メンバーに試算表まで見せてもらい、本音で語り合うことの重要性と、食部会だけでなく、参加メンバーが同友会をどのように活用するかという側面でも収穫のあった行事となりました。
また、昨年に引き続き、燕市宮町の地域イベント「飛燕夏まつり」にも有志でブースを出展。今年は4つの企業がそれぞれ商品を提供しました。
私の今年の抱負は「旨」。新潟は“旨い”でできていると私は思います。海産物・農産物・畜産物・水・空気・景色、どれをとっても“旨い”。上・中・下越 佐渡、新潟の“旨い”を、文化を、広く世間に伝え続けたい。それを食部会として掲げて、取り組んでいきたいと考えています。
食部会長 鶴田 雄介(新潟肉と海鮮・50種の地酒つるまる 代表 新潟支部ウエスト地区) 記
「経営指針成文化と実践の会」のイメージが強い経営労働委員会ですが、労働環境の改善も委員会の取り組みの一つとして挙げられています。働き方改革が取り上げられはじめ、既存の商習慣の見直しや生産性向上による労働時間の短時間化や多様な人材活用など大きな変化に戸惑いを覚えた経営者の方も多いのではないでしょうか?そして、さらに激変の様子を呈しています。「最低賃金1500円」現在の約1000円から1.5倍の数値が求められています。数年前より中同協の会議などでよく耳にしたのが「10年で1500円という報道が出ているが、同友会はこれを5年でそれが可能な企業づくりに取り組もう。」という発言でした。当時は2030年代半ばに達成という政府方針でしたが、これが現在では2020年代中に1500円と前倒しで発表されています。同友会が先んじて達成しようとした未来が、骨太の方針によって現実的な未来として示されています。外部環境の変化に任せたままの賃上げではなく、企業の自主的な業績向上による社員さんの所得増を達成しましょう。そして1500円になったとしても「最低」賃金なのは淋しいですよね。達成した上で利益もきちんと出し、さらなる還元ができる「儲」かる経営を実践しましょう。
経営労働委員長 諸橋 晋太郎(㈲新潟ワークステーション 代表取締役 新潟支部サウス地区) 記
奥野:2025年の新潟支部賀詞交歓会での報告者として準備する中で、突然「女全交で報告をお願いします」って言われた時は、本当にびっくりしました。まさか入会歴も浅く、自分が全国大会の分科会報告者に推薦されるなんて思ってもみませんでした。
山田:私も賀詞交歓会の座長として同じタイミングで伺い驚きました。女全交って?何の略?正直よくわかっていない中で、なぜ私なの?というのが本音でした。
奥野:そうですね。色んなご意見も聞こえてくる中で、育永さんが「チームにしていこう」と言ってくれて、周りに協力してくれる人たちが集まってきてくれました。あれが大きかったんです。最初は本当に不安でした。でも今は、成功させたいという想いが強くなっています。
山田:全国行事での分科会を担う事の重大さに戸惑いがありましたが、「オール新潟」で支えていくからと背中を押していただき、「プロジェクトチームNJT」を結成し、理事役員、女性部会員、全国を経験されたサポーターの方、事務局の方、多くの皆様からのお力添えをいただいております。本当に協力者の存在ってありがたいなって思いました。私も会歴浅く、座長として何をすべきかを知らなかったので、「座長とは、座長の役割」を少しずつ実感していくことができています。そして、私自身が成長できる機会に感謝しております。
奥野:プレ報告会をやり始めてからも、いろんな学びがありました。みんなが意見をくれて、「なるほど、そう考えるんだ」って発見が多かったです。経営のことも、真剣に考えないといけないとも考えさせられました。ソーシャルワーカーとしての自分自身の事も見つめ直し、代表で料理長もする主人と経営のことで話をするようになりました。報告の準備をしながらではありますが、すでになにわ茶屋では大きな変化が生まれていて、主人も同友会に入会。良い方向に進んでいると思います。まだ報告もまとまっていない状況ではありますが、満足のいく内容にできるように頑張りたいと思います。
山田:本番まであと少し、一緒に頑張ろうね。
奥野:うん、一緒にいい形にしていきましょう!前進あるのみですね。
6月24日、アオーレ長岡にて「6支部合同 中小企業家 経営者大交流会【君は一歩を踏み出せているか】」が開催されました。
長岡・燕・三条・柏崎・上越の5支部と、10月の設立を目指す魚沼支部準備会、そして増強委員会との合同例会として、全県から会場とZoomで151名が参加しました。
栄電機株式会社 代表取締役社長 渡邊 真和 氏(燕支部)
大交流会の開催によって、2年前に増強委員会に入った当初から思っていた事を形にすることができました。私の根底にあるのは、色々な意味で「同友会の認知度が低い」この1点のみです。私はこの同友会に入って心から良かったと思っています。それをどう会員外の人に伝えたらよいか、まだまだ参加率が低い会員にはどう伝えたらよいのか。そう思った時に例会報告はゲストを中心に刺激のある内容であり、会員にとっても刺激になる内容である必要がありました。それには同友会で経営指針を成分化していて、気づき、成長して、外部発信をしていて、一歩を踏み出し続けている本多さんが適任だと思い、報告者をお願いしました。誰にとっても刺激のある内容であったと確信しております。
座長としては会員集め、ゲスト集め、会場設営やすべてに対して万全な体制をとって進めていきました。結果滞りなく大成功の後に終わることができました。座長としてはそれだけで十分ですし、自分が汗水を流して行動したことに対して他の人はしっかりと応えていただける事を学びました。例会としては最大規模であり、ゲストも過去最大規模の人数に参加していただけたと思っております。
ですがまだ終わっておりません。これからゲストのクロージングのやり方やゲストに対しても参加率の低い会員に対しても、多く参加していただいている会員に対しても学びになり次に繋がる例会づくりを各支部で行っていく必要があると考えています。私はそのサポートを今後も変わらずに続けてまいります。
一般社団法人 障害者協働ネットワーク 代表理事 足立 裕介 氏(長岡支部)
「6支部合同 中小企業家 経営者大交流会」に参加し、貴重な学びと交流の機会を得ることができました。報告「君は一歩を踏み出せているか?」では、ミノル製作所株式会社 本多貴之社長より、経営の現場で幾度も困難や挫折に直面しながらも、諦めることなく新たな挑戦に踏み出してきたご経験を伺いました。本多社長の飾らない言葉と実体験に基づく話から、経営者として困難な局面でこそ前向きに決断し、行動することの大切さを改めて認識しました。
また、交流の場では、地域や業種、世代の異なる多くの経営者と率直な意見交換ができ、自社だけでは気づきにくい視点や考え方に触れることができました。日頃の経営課題や地域貢献への取組みについても共感する部分が多く、今後の経営に活かせる新たな気づきや人脈を得る有意義な場となりました。今回の学びや出会いを今後の経営に反映し、地域経済の活性化と自社の持続的な成長に繋げていきたいと考えています。
河本・海津税理士法人長岡事務所 代表社員 税理士 河本 潤 氏(柏崎支部)
大人数での会場参加は素晴らしいものでした。同友会は①よい会社②よい経営者③よい経営環境を目指すの理念に共感した経営者が集まる「社長の学校」であるため、少しでも知見を深め、実践していこうとする意識の高い方が多く集まり、すごく楽しい勉強会となることが多いのですが、今回の例会もそれを直接肌で感じることができました。Zoomでは得られない会場例会参加による楽しさですね。そして他支部の方も多くいらっしゃったので、新鮮で、力強い経営者とのグループセッションはお互いを知り、かつ深い経営談義ができるよい機会となりました。
また報告者のミノル製作所㈱の本多社長の発表も非常に楽しく、自社の経営に生かせそうな要素がたくさんありました。地域課題や事業承継問題に実直に向き合い、スタッフのやりたいことを後押しする姿勢が素晴らしく、話を聞いているだけで、楽しそうなスタッフの笑顔が思い浮かぶようでした。
このような楽しい例会づくりをしていただいた方に感謝しつつ、また例会への参加意欲が高りました。皆さんと一緒に楽しく学んで、自社の経営に生かしていきたいと思います。よろしくお願いします。