広報誌同友にいがた
2025年11月号

新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 11月号 Vol.450
2025年11月号
新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 11月号 Vol.450
■表紙
障がい者が諦めなくていい社会の実現へ
【MAZAQ株式会社 代表取締役】
小竹 康裕 氏 柏崎支部
■Contents
◇PEOPLE LIFE data No.063
未来を創る! 新潟の企業家たち
同じ志を持つ企業を増やしたい
小竹 康裕さん MAZAQ株式会社 代表取締役
◇支部・委員会・部会活動報告
それぞれのテーマを専門的に学び、問題を解決!
佐渡支部/上越支部/魚沼支部/広報情報化委員会
◇新入会員紹介
◇私とお話しませんか?会員交流の館 vol.26
◇ANOTHER REPORT
例会や行事の報告など、
情報共有の場としてフリーテーマで同友会の情報を発信します。
青年部会特別例会 絶対に青全交に行く理由がそこにはある!
【NEXT STAGE】開催レポート
- PEOPLE LIFE data
- 委員会・部会活動
- 新入会員紹介
- 会員交流の館
- ANOTHER REPORT
起業とターニングポイント
2022年、元々副業として行ってきた携帯電話を使ったインターネット物販事業をベースに、㈱Juraiceを創業します。今後IT業界は絶対に伸びてくる、という自信があり事業として楽天にネット店舗として参入しました。地方にいると流行りものはなかなか手に入らない時代です。妻と共に始めた事業でしたが、売上が増える中でパートさんを採用。グーグル等大手IT企業にあこがれていた私は、給料は真似できなくても、それ以外は取り入れようととにかく働きやすい環境を大切にし、ライフステージに合わせた働き方ができる仕組みを整えました。
多くの企業の参入により市場が拡大し、伸び悩む時期はあったものの、爆発的なヒット商品も取り扱うことができ、更に上り調子でした。ところが2015年、突然主力の店舗が運営元から閉店に追い込まれました。ネット販売のリスクとして考えていたことではありましたが、「まさか自分が」という思いでした。未入金の売上も回収できないままその店舗の売上は0、多額の借入の返済期限も迫っていました。絶望の中、社員さんに謝罪しながら事情を説明。残りたいと言ってくれた方もいましたが、残った店舗での売上では雇用は維持できず、全社員を解雇することとなりました。
「社員さんの人生を狂わせてしまった。返済はどうすれば。」パニックに陥っていた私を励ましてくれたのは、一緒に事業を行ってきてくれた妻の「大丈夫、大したことはない」という言葉でした。
「向き合うべきこと」MAZAQ㈱のスタート
私たちには2人の子供がおり、第2子の長女は先天性の難病を発症していました。14歳まで生きられるかどうかと診断され、症状が出ると入院となってしまう状態でした。私たちが向き合わなければいけない絶望と比べたら、今の状態は大したことはない。そう思い、できることを一つひとつやっていきました。結果として、完全ではないものの終息し、未入金の売上も回収でき、1つの危機は去りました。閉店した店舗は戻ってきませんが、蓄積されたノウハウのおかげで、再び事業を進めていくことを決意できました。トラブルから3か月後、一方的な解雇となった社員さん全員に「勝手だとは思うが戻ってきてほしい」と連絡。すでに再就職をしている方もいましたが、5名中3名が復帰してくれました。本当にうれしかったです。
また、この時から、同じ轍を踏むことがあってはいけないと、事業の転換についても考えるようになりました。元々、2010年頃から自社におけるIT事業の天井が見えてきており、何か始めたいと考えていました。そこで2022年にスタートしたのが㈱MAZAQでした。
生活を守り、暮らしを守り、社会を変える
娘が大きくなっていくにつれ、「余命はあるが、もっと長生きをしてくれた時にどんな人生になるのだろう」と、障がい・難病を抱える子供たちの将来を考えるようになっていきます。また、同様に障がいを抱える子供を持つ保護者と繋がる機会も多く、福祉事業所や障がい者雇用に対する不安を耳にすることが増えました。福祉事業について調べていくと、「自分の娘を預ける」ということに確かに不安を感じました。それならば、「娘に寄り添いながら事業ができないか?」、「自分たちのノウハウを生かすことができるのではないか?」と考えるようになり、就労継続支援A型・B型事業所を立ち上げ、地域活動支援センターの運営も市に申請し、利用者が自身のステージに合わせ環境を変えずに働き続けられる事業所にしました。
既存の社員さん全員は、MAZAQに移行し仕事内容はほとんど変わりませんが、社会貢献や福祉事業のやりがいを話してくれることもあり、とても感謝しています。子どもの頃から会社に顔を出していた娘も高校2年生になり、彼女の夢がパン屋さんだったことから、ベーカリー部門もスタートしました。とにかく事業としての成果を上げ家族・社員の生活を守りながら、私たちの目指す「障がい者が諦めなくていい社会の実現」へ一つひとつ取り組み、同じ志を持つ企業が増えてくれることを願っています。
MAZAQ株式会社
代表取締役 : 小竹 康裕 氏(柏崎支部)
事業内容 : 障害者就労継続支援A型B型事業所・地域活動支援センターⅢ型
住所 : 柏崎松波2丁目3-29(施設名 GRANBASE)
TEL : 0257-47-7005
https://www.mazaq.jp/
創業 : 2022年
従業員数 : 12名

佐渡支部は今年度、①連携の創出②最先端の学び③住みよい地域づくりを重点に、仲間づくりと会員の居場所づくりを進めています。例会では島内の地域・経営課題を取り上げ、解決策をグループ討論で深めています。食部会と合同で6月に広島の株式会社EVENTOSを訪問し、8月は経営者交流会in佐渡、9月は市長懇談会を実施して行政・金融・地域団体との協働を強化。昨年度末に年間スケジュールを策定し、2〜3か月前から準備する体制も確立しました。若手が主体的に参画し、懇親会や情報交流会など「飲みにケーション」で率直に経営を語り合う風土が醸成。各団体での案内と別会での一人一名以上の周知によりゲスト参加が増え、認知向上と会員拡大を推進中です。討議の気づきは次回の実践へ反映し、新入会員のフォローも継続。2025年度末の会勢目標は36名(現33名)。一方で参加の固定化という課題に対しては、下期は入会2〜3年層・新入会員へのフォローと月1回のオリエンテーション参加促進、理解促進の環境整備や組織見直しを進め、退会抑制と増強につなげ、実践と学びで島内の活力に貢献します。また、支援制度の活用や共同企画、会員間の連携案件の創出にも取り組みます。
佐渡支部長 柴原 健司(セイデンテクノ㈱ 取締役社長) 記
2025年度の上越支部は、スローガン「凡事徹底」のもと、郷土愛・会社愛・自分愛=トリプルLOVEをテーマに掲げています。「生き残りたい!成長したい!成功したい!」という熱い想いを共有し、共に幸せになる仲間づくりを目指しています。
重点は「質の高い学び」と「楽しい交流」。通常例会では報告者から実践的な気づきを学び、自社の成長に活かす仕組みを構築。懇親を深める「Happy会」(納涼会・望年会・立春会)では、オールフリー席で名刺交換や会社アピールタイム、物販も行い、経営と人間関係を同時に高める工夫をしています。
また、地域行事(マゼランフェスタ・キッズアカデミーなど)への参加を通じ、地域貢献と自社PRを両立。行政や議員との協働も進めながら、会員同士の絆をさらに強化しています。
今年の抱負の漢字は「結」。仲間を“結び”、地域と“結び”、成果へと“結ぶ”──。上越支部は笑顔と情熱で“つながる力”を形にしていきます(10月には新規会員2名が加わり、勢いはさらに加速中!)。
上越支部長 鷲澤雅皇(上越トーヨー住器㈱ 代表取締役) 記
魚沼支部会員の皆様、そして地域の皆様。魚沼支部の設立を迎えるにあたり、支部長として心からの喜びと、身の引き締まる想いでおります。私たちの活動は、設立理念である「地域を愛し、地域を考える熱い想いのある人を募り、自社のみならず地域の将来を見据えた経営を考えていきたい」という精神に基づいています。支部スローガンに掲げた「地域の未来を灯す!我ら魚沼の企業家魂」の名の通り、私たち一人ひとりが学び、高め合い、地域の豊かな未来創造に貢献していくことが使命です。人口減少や担い手不足といった地域課題を、自社の経営課題として捉え、行政や教育機関などとの連携を通じて解決への種をまいていきます。
また、「経営指針の成文化と実践」を通じて、社員が誇れる「よい会社」づくりを目指し、変化に強い企業体質を共に築きましょう。「自主、民主、連帯」の精神のもと、温かい仲間づくりを進め、会員数30名の目標達成に向けて、「魚沼地域に、同友会の輪」を広げてまいります。
6月号で掲げた抱負『魂』には、魚沼支部が目指す、企業家としての熱い想いと、地域に対する深い愛が込められています。これは、支部スローガンにある「我ら魚沼の企業家魂」に象徴されています。
この熱い想いを結集し、共に誇れるふるさとを創ってまいりましょう!
魚沼支部長 青木 満昭(㈱大和環境 代表取締役) 記
広報情報化委員会では、「同友にいがた」の取材で、毎月2~3社の会員企業へ訪問しております。会員さんの直接の声、その場での質問、会社見学が出来るので、非常に気付きが多く、貴重な体験が出来ます。改めて思うのは、同友会だからという事で取材を引き受けて頂いているので、これが広報情報化委員会の醍醐味ではないかと思います。
8月には、久々に佐渡への取材へ行かせていただき、佐渡支部の方との交流をしました。取材と併せて、会員さんのところで美味しいご飯・デザートを食べ、満足のいく取材となりました。また、昨年から復活しました新潟日報の記者の方と交流会を今年も主催させていただきました。記者の方と話をさせていただくと、常に情報を探しているとのことで、こういう機会を通じて、会員さんの事、中小企業の事が、メディア関係に取り上げられるきっかけになったら、うれしく思います。今期中に第2回目を開催しようと現在調整中です。開催にあたり、新潟日報社の方も業種ごとに担当が決まっていると前回知りましたので、今回は事前にどの担当者が参加されるのか確認を行い、参加される会員さんの業種にマッチできるようにしていきたいと思います。
広報情報化委員会の活動を通じて、色々な人との出会い、話を聴かせていただき、感謝しております。引き続き、取材依頼があった際は、皆様、宜しくお願いいたします。
広報情報化委員会 委員長 品田 敦司(㈱シナゼン 代表取締役 新潟支部セントラル地区) 記
山岸:中小企業経営フォーラム第一分科会の室長を拝命して、座長を務められる𡈽田さんを知り、同じ建設業で住宅を建てられていることから、今回色々お話を聞きたいと思いました。家業を継がれていらっしゃいますが、やはり子供のころから建設に興味があったのでしょうか。また、私は妻の父が創業で次の社長はお前だと周りから言われているのですが、会社を継がれるにあたっての覚悟のようなものについて教えてください。
𡈽田:私は3代目になるのですが、父が創業して遅くに出来た子供だったので、2代目に現会長の大竹が社長をして、35歳で社長に就任しました。今考えると若くして社長になったと感じますが、父からは「お前がやりたいように挑戦して、会社をつぶしてもいい」と言われて引継ぎ、大きなプレッシャーを感じつつも、少し気持ちが楽になりました。仕事をするうえで立場はどうあれ覚悟は必要だと思っていて、採用する際にも必ず相手に「覚悟を持って働いてほしい」と言うようにしています。採用する側は社会人として成長してもらうために様々な労力をかけて教育します。それに対してぬるい感覚で応えられてはたまりません。しっかりと期待に応えて成長し役に立つ覚悟が必要だと思っています。確認して採用しても社員になると変わってしまい、挑戦する覚悟を忘れてしまう人もいました。家で勉強する事も残業だという始末で、こちらは諦めるしかありませんでした。
山岸:私は妻と付き合う際に、付き合って結婚したら妻のお父さんの会社に入って継がなければいけないかもしれないと言われて、ある程度覚悟を持って今に至るのですが、子どものころ大工さんになりたいという夢を持っていたこともあり、良かったと感じています。覚悟といえば、今回中小企業経営フォーラム第一分科会の報告者の高野さん。お話を伺えば伺うほど覚悟や熱さを感じますね。
𡈽田:高野さんとは例会で数回会話した程度だったのですが、今回座長として、沼垂ビール株式会社を立ち上げてからこれまでの過程だけでなく、その前の経歴のお話や、未来への考え方を伺うなかで、高野さんのすごさを感じています。いつでも挑戦し諦めないで突き進んできた行動力に感動しています。ミッションを軸にしてブレない経営をしている高野さんの報告を多くの方々に聞いてほしいと強く思っています。
山岸:地域との連携や業界の牽引、異業種とのコラボレーションなど盛りだくさんな内容が含まれていますが多くの学びとなるのは間違いありません。是非とも多くの方々に中小企業経営フォーラム第一分科会に参加してほしいと私も思います。
10月7日朱鷺メッセにて、青年部会特別例会が開催されました。11月20日に迫る香川青全交。
その先にある2028年青全交の新潟誘致に向け、青全交の魅力、全国大会の学びを共有することを目的とし、
香川青全交実行委員長のオートモールジャパン㈱ 代表取締役 西山 彰一郎氏からご報告していただきました。
また、猪又隆一氏(新潟支部)関原英里子氏(上越支部)諸橋晋太郎氏(新潟支部)によるパネルディスカッションも行われ、体験談と実践をお話し
いただきました。参加された方から、パネルディスカッションのコーディネーターの水澤崇裕氏を含め3名の方の感想を紹介します。
㈱水澤商店 代表取締役 水澤 崇裕 氏(新潟支部セントラル地区)
11月20・21日に開催される香川青全交に私は初参加します。10月7日に行いました青年部会特別例会を通して、青全交はとても素晴らしい場所だと感じた点がありました。それは、①出会いの場、②学びの場、③楽しむ場の3つです。
青全交は約2000人の経営者が集まり、20の分科会、懇親会、翌日の講演でそれぞれが学びを得ます。2日間の濃い時間を得られる事にとてもわくわくしています。
特に私が楽しみにしているのは出会いの場としての青全交です。切磋琢磨しあえる仲間と出会えたと語った話が印象的で、私もそういう仲間をつくりたいと思いました。
出会い、学び、楽しんだ後は④結果を出す、という事も忘れずに、青全交を精一杯楽しみたいと思います。
最後に、皆さん!一緒に青全交に行きましょう!
ライフラボ行政書士事務所 代表 長谷部 直人 氏(新潟支部ウエスト地区)
香川青全交実行委員長 西山彰一郎氏の特別報告では、同友会運動に真摯に取り組み自社経営に活かしてきた実践事例を聴き、今後の同友会活動への関わり方について改めて考える良い機会となりました。また、新潟に青全交を誘致することの意義を理解することもできました。
参加経験のあるパネリスト三人と、現地未参加のコーディネーターによる、ディスカッションからは全国イベントに参加する意義と自社への活かし方について話を学ぶことができました。
あなたは県外で学ぶ価値を実感していますか?というテーマのグループ討論では、「県毎の空気感が違う」、「自県とは違う学びを得られる」という意見があったことが印象的でした。
㈱近藤製作所 専務取締役 近藤 洋平 氏(新潟支部ウエスト地区)
今回の例会は、全国行事や県外の行事に参加するとどんなことを得られるのか、その魅力を伝え、全国行事、県外行事への参加の機運を高める、普段とは少し異なる形の例会でした。
西山さんの報告の中で「全国行事に参加することで自分・自社の立ち位置が明確になり、高めあえる仲間ができた」と仰っていました。異なる地域で異なる背景を持つ方々の意見・考えに触れることは自分の視野を広げることにつながり、刺激になると感じました。
懇親会では「水の流れと同じで、止まっていたら澱んで濁るが、流れていれば濁らない。同友会も同じ」という言葉が印象に残りました。また、今回の例会に東京・群馬・山梨から会場参加、徳島からZOOM参加の会員さんがおり、「高めあえる仲間ができる」片鱗を垣間見ることができたように思います。
県外の行事へも可能な限り足を運び、成長していけたらなと思えた、良い例会でした。














