広報誌同友にいがた
2025年7月号

新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 7月号 Vol.446
2025年7月号
新潟県中小企業家同友会
広報誌 DO YOU KNOW?にいがた 7月号 Vol.446
■表紙
これから描く20年ビジョンと
その先の20年
【(株)岡久 代表取締役】
岡田 裕司 氏 三条支部
■Contents
◇PEOPLE LIFE data No.059
未来を創る! 新潟の企業家たち
多様な人材が輝ける社内環境へ
岡田 裕司さん (株)岡久 代表取締役
◇支部・委員会・部会活動報告
それぞれのテーマを専門的に学び、問題を解決!
三条支部/下越南支部/青年部会/増強委員会
◇一般社団法人新潟県中小企業家同友会 会歴表彰特集!
◇私とお話しませんか?会員交流の館 vol.22
◇ANOTHER REPORT
例会や行事の報告など、
情報共有の場としてフリーテーマで同友会の情報を発信します。
理事役員研修【『労使見解』発表50年企画 自主・民主・連帯の精神と
『労使見解』~人間尊重の経営で未来を切り拓く~】開催レポート
- PEOPLE LIFE data
- 委員会・部会活動
- 会歴表彰特集
- 会員交流の館
- ANOTHER REPORT
企業の成り立ち
株式会社岡久は新潟県三条市で建築塗装や自動車塗装の塗料製造・販売・調色サービスを行なっております。元々は明治5年創業の岡久薬店に始まり、大手塗料メーカーとの特約店契約から、昭和25年に㈱岡久商店として法人を設立しました。その後、昭和53年に塗料部門として㈱岡久を分離独立し現在にいたります。特殊な調色設備を所有している事から大手メーカーのOEM工場としての機能も持っております。
当社の強みは、各種調色設備を用い顧客の要望に応じ微細な色の調整が可能で「狂いのない色」「配色の割合がどの程度か」を正確に把握し小ロットから対応しております。
また顧客の廃棄物処理サポートとして使用後に余った塗料をコンテナやドラム缶で引き取り適切に処分をすることで顧客の廃棄コスト削減に貢献しています。 営業範囲も広く新潟県内広域をカバーしており東京からの依頼品の引き取り実績もあります。
実家を離れていた私が事業継承へ
高校卒業後、関東で鉄鋼関連企業やウェブ関連企業等、様々な仕事に従事してきました。ある時、私の兄(当時専務)が退社をすると、当時社長だった父(現会長)からの相談を受け、大手メーカーに2年間研修後、新潟へ帰省し兄と僅かに引継ぎを行い入社する事になりました。
入社当時の状況はそもそも取引先やお客様・社員さんからも、弟である私の存在を知る人が少なく完全にアウェーな状況でした。その中でいずれは後継者として会社を牽引する立場になるんだと、業務を一から学び少しずつ周りとの関係を創り信頼を得るように努力してきました。また夜は地域の経営者団体に入会し経営者としての学びを深めていきました。現在事業継承を行い、4年目を迎えています。
自分自身社員だった経験から、『やらされ感』を出したくないと、会社では社員さんの自主性を尊重した環境作りを会社経営において理想としています。
大切にしていることと経営課題
当社の強みは特殊な塗料製造設備を使った高い技術力で、特に調色技術は他社にない強みになっております。しかし、最終的に色や光沢の微調整や最終判断は“人の目”で行います。それら一つ一つに関わる社員さんがとても大切で、働きやすく・活躍できる、そんな環境を作り続けられるように経営に取り組んでいます。年齢や身体的特徴から生まれる苦手なことも柔軟に対応し、得意なことで働ける役割や環境を目指し、多様な人材の雇用に取り組んでいます。また、“社員さんとミッションや指針を共有し一体感を醸成する事”を目指しています。
現在の経営課題としては事業継承です。私が41歳で、社員の方々も同じ世代が中心になりチームワークも良くなってきております。徐々に若い世代も増えてくる中で、20代の社員が20年後も生き生きと働いてもらえるように、20年ビジョンの作成を目指しています。そして、20年後に、私と同じように20年後を考えてくれる後継者を育てたいと思っています。
目指すものの実現のためには、まだまだ学び足りないと思っています。縁あって同友会に入会することになり、今年度経営指針成文化と実践の会を受講する予定です。また当社の強みの一つでもある広い敷地を活かし既存の塗装・塗料事業に加え新たな事業の柱の構築(隣接異業種展開など)も検討していきたいです。
(株)岡久
代表取締役 : 岡田 裕司 氏(三条支部)
事業内容 : 塗料の調色・販売、資材・機械の販売、設備工事事業
住所 : 五泉市五泉1485-1
TEL : 三条市井戸場568-4
創業 : 1978年
従業員数 : 22名
三条支部では今年度、「三」をキーワードに活動を展開しています。三条の“三”に加え、3つのグループによる運営体制、そして同友会の3つの目的(よい会社・よい経営者・よい経営環境)を見据えた体制です。「敷居は低く 間口は広く」というスローガンのもと、多様な仲間との出会いと学びを大切にしています。
昨年度は9名の新入会員を迎え、まずは“知り合う”ことを目的に、今年度第1回例会として新入会員企業の三条精密工業㈱様を訪問しました。丸山社長の率直なお話とともに、DX化が進んだ工場のシステムや社員の皆さんの生き生きと働く姿に、深い学びと感動がありました。
今後も例会以外の場でも企業訪問を継続し、互いに学び合い、励まし合える支部づくりを進めてまいります。
三条支部長 ㈲神田板金 代表取締役 神田 晃 記
はじめまして、本年度、下越南支部長を務めさせていただきます。野瀬 陽です。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
下越南支部は会員数34名で活動を行っていますが、それぞれの個性を生かし、勉強会や支部例会等、積極的に取り組んでおります。新年度の5つの方針を中に、経営の原点回帰を上げています。支部会員全員が共に寄り添い、共に学べているのか? 「誰もが楽しく、経営を本音で語り合え、孤立者を一人も出さない」です。これから増強を含め、積極的に参加できる仕組づくりを考えていきます。もう一つに、中小企業振興基本条例があります。少子高齢化、人口減少が進む中、私たちは金融、教育機関、行政とどうかかわり、持続可能な地域を守り続けて行かなければならないと思っています。下越南支部は自然が豊富でたくさんの観光名所があり、物づくりが盛んな地域です。私たちは可能な限り連携し観光振興、地域交流の推進に携わっていきたいです。
また、昨年からですが、各支部行事の他、下越南支部・新発田支部・村上支部の下越ブロック3支部合同例会を行っていきます。同じ下越地区でもあることから、より強固な関係を築きたい。組織づくりと仲間づくりをしたい。学びたい。から始まりました。今年は下越ブロック3支部合同7月例会と11月に全県フォーラムを開催いたします。準備は大変ですが、担当リーダーのもと、楽しくせわしなく準備しています(笑)。
新年度抱負の1文字は「恕」…ゆるす、じょ(相手を思いやって許す。他人の立場や心情を察すること)。
以前の私は、強い自己中心的な考えを持ち、人間性に乏しく、人を生かす経営ができていませんでした。そんな中、第4期経営指針成文化と実践の会を受講した際に、心に刻んだ1文字です。
下越南支部長 ㈲新光園・ガーデンスタジオ雅楽庭 代表取締役 野瀬 陽 記
本年度より青年部会長を仰せつかりました、㈱はるかぜツアーの猪又です。新年度が始まり、私たち青年部会は「絆」をテーマに、メンバー間で強固な絆を築くためのきっかけづくりに力を入れています。昨年度の活動を踏まえ、引き続き信頼構築を進め、仲間同士が互いに支え合い、高め合える環境づくりを目指しています。
今期から新たにレクリエーションチームを結成し、4月には弥彦山登山を企画して開催しました。学びだけでなく、青年経営者として時には楽しく交流しながら絆を深めることも大切にしています。このような活動を通じて、メンバー同士の絆がより強く、深いものになっていくと考えています。また、新年度の方針としては、メンバー一人ひとりが積極的に参加し、共感と学びを深める機会を提供することが重点となっています。今後も各支部との連携を強化し、同友会の魅力を広く伝えていきたいと考えています。
さらに、私たちは今期、2028年青年経営者全国交流会の新潟誘致にも取り組んでおり、この重要なイベントを新潟で実現させるために力を尽くしています。
抱負の一文字ももちろん『絆』です!もはや説明は不要ですね(笑)。今後も引き続き、皆様のご支援、ご協力を賜りながら、活動を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
青年部会長 ㈱はるかぜツアー 代表取締役 猪又 隆一 記
いつも会員増強にご尽力ありがとうございます。【新潟同友会 600名会員達成!魚沼支部設立!社長の学校を地域に広め、いい会社でいっぱいの新潟にする!】この目標に向かってALL新潟で会員増強に挑戦する2025年度の増強委員会です。
毎月の委員会では、支部の増強活動事例の共有を大切にします。お互いの良い事例を真似することでみんなで成長していく仕組みです。広報情報化委員会と連動して対外的な情報発信も注力します。会議内で学びの時間も設けます。人を生かす経営を読みあわせたり、会員企業のビジョン事例を共有したり、必ず経営のヒントを持ち帰れる会議にします。
委員会と同日に、同友会オリエンテーションも開催しています。同友会の歴史、委員会・部会紹介、新潟同友会ビジョンNDGsなど、支部内では網羅しにくい部分を伝えています。新入会員以外も大歓迎です。入会年数だけ経過して今更だけど知らないことだらけ…なんて方も多いのでは?ぜひ遠慮なく増強委員会やオリエンテーションに来てください。
増強委員会発足3年目。新潟の増強の風土はかなり進化してきました。活動も多岐に渡ってきました。この調子のいい波を「本物」にするのが今期です。会員増強をすることが当たり前の「文化」にまで成熟させるべく、できる「挑戦」はすべて実践します!
増強委員長 有希化学㈱ 代表取締役 本間 英樹 記
私が入会したのは、2005年のこと。父が亡くなり、社長を継いだ私は経営の勉強がしたいと考えていました。そんなとき親戚関係の冨岡フジ子さん(㈱富岡鉄工所 専務取締役 ※当時 現在は退会)に「それならいいところがあるから任せて」と言われ、後日入会申込書をもってきて入会することになりました。当然、一言も説明がないまま進みました(笑)。
入会直後の2月に、新潟で「中小企業問題全国研究集会」(以下全研)が開催されるということで、「スタッフとして参加させてほしい」と、裏方として参加させていただきました。1200人の経営者が経営に向き合う姿を間近にみて、「私もこの会員になったのだ」と気持ちが高ぶったことを覚えています。同友会の流れをそこで知ることができました。
「入会したら指針を受けなさい」と2005年に経営指針を創る会(現経営指針成文化と実践の会)を受講。作成する中で、メンター(現サポーター)さんからの一言が当社の事業を変化させたことに繋がりました。
受講が終わるとフジ子さんから、「私が組織委員長※①をすることになったから副委員長をやってほしい」と言われすることに。組織委員が何かも分からないままに運転手としてすべての支部を回り、気が付くと300人くらいと名刺交換をして繋がっていました。この信頼のおける様々な経営者との繋がりが、今の仕事にも非常に役立っています。
その後も、委員会活動、指針を創る会のメンター、支部長など、お誘いいただいた役割は積極的に受け、様々な学びを得ることができました。同友会は「Yes」か「はい」です。役に挑戦してください。それがあなたの力になります。そして、一定の期間でバトンを渡してください。会社と同じで、後任を育て、託すのが大切です。そして、役を降りるときは惜しまれて降りられるようにやり抜きましょう。
同友会は、出れば出ただけ学びがあります。私は、定時総会、経営フォーラム、賀詞交歓会など、過去の全県行事は3回以外すべて出席しています。リアルで参加し、そこで得た繋がりが、いつかあなたを助けてくれます。
おかげさまで、業態を変化させながらも、会社は拡大しています。これからも、前を向いて頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。
※① 組織委員会…現在の増強委員会の「増」により特化した委員会。新支部設立や各地のゲスト一覧等を共有し、同友会の実践を伝え組織強化に取り組んでいた。
本間:入会してから、「小田さんっていう青年部会長が青年部会を活気づけてくれて」という話をよく聞いていました。青年部会を卒業し、共育求人委員会に関わり始めると、そこでも共育求人委員長としての小田さんの名前を耳にして、キチンとお話を伺いたいなと思っておりました。
小田:光栄です(笑)。まぁ過去の話なんでね。正直に言うと、自分のやりたいようにやっていただけです。そこにみんながついてきてくれたというか、盛り上がってくれたというか。
本間:色々な活躍をされてきたと思うのですが、同友会にはどういった経緯で入会されたんですか?
小田:入会は馬場守さん(㈱ビーエム企画 取締役会長 新潟支部セントラル地区)の紹介でした。基本幽霊会員で、経営指針や青年部会とか、その時々で自分の求めること、やりたいことに合致することをやってきたと思います。部会長になったのは、会社も好調で、いろんなことにチャレンジしていた時期でした。ただこれは悪いところなんだけども、細かくは考えていませんでした。同友会で仲良くさせてもらっている同世代は、2代目3代目が多くて、きちんと会社を経営している姿を見て“かっけぇな”って、あこがれていました。「あいつらと対等に話したい」と頑張っていたと思います。
本間:私も昨年経営指針成文化と実践の会を受講しました。私はそこで覚悟を新たにできたと思っていますが、小田さんは受講してどうでしたか?
小田:正直、あんまり変わらなかった。結局、「人が変わるのは仕事に向き合った時」だと思っています。ただ、指針を含め同友会で言われたことや繋がりはすごく大事だと思っていて、なんで幽霊なのに同友会をやめないのか、って言われたらやっぱり仲間。友達は他にもいるけど、経営者としてお互い信頼し合って、会社のことをそのまま相談できる仲間はここにしかいないんだよね。大切な存在です。
本間:共育求人委員会に関わったのはどうしてですか?
小田:当時は勘違いしている部分もあって、「新卒採用する会社の方がしっかりしているから」という理由で関わりました。結果的に実践は失敗。ただ、言われてみるとそれが肥やしになっていると思うし、挑戦してよかったと思っています。
本間:挑戦ややってみたいことをする、というキーワードが出ていますが、同友会だけでなく、色々とチャレンジしてみて今感じることはありますか?
小田:ここ数年で会社がかなり変わりました。社員数も多いときの半分ぐらいに減りました。創業から一緒にいて、同友会に参加していた役員の退職もあり、やっぱり寂しいと思うこともあります。人数が少なくなって、今まで以上に「社員さんがどう考えているか」を考えるようになりました。売上や利益ももちろんながら、“会社の原点はどこなのか”を忘れないようにしたいと今は強く思っています。私自身、仕事は超好きです。自社の仕事にももちろん自信があります。もっと新しいことに挑戦して、進化し続けたいと考えています。
5月30日に開催された新潟同友会理事役員研修。労使見解発表から50年の特別企画として自主・民主・連帯の精神と『労使見解』~人間尊重の
経営で未来を切り拓く~をテーマに、加藤 明彦 氏(エイベックス㈱代表取締役会長/中同協 副会長/愛知同友会相談役理事)を報告者に、
グループ討論を行いました。参加者の中から、3名の方の感想を紹介いたします。
㈱吉田工業 取締役 吉田 篤 氏(燕支部)
今年度は理事でも役員でもなかったのですが、南魚沼支部設立に向けた準備会メンバーに選出されましたので、今回の加藤明彦氏の報告を聞かせていただきました。
私自身、これまで意識的にできていなかった、「同友会の学びを社員に対してどう伝えていくか?」ということを考えさせられました。個人的に最近やり始めていたことが、仕事の引継ぎやコミュニケーションとして、内容についてしっかりとした【目的】を伝えることです。何のためにその仕事をするのか、何の意味があって作業するのかを私の考えも知りつつ、自身の頭の中で考えることでその仕事に対しての視野を広げてもらうためでもありました。
今回の報告で、経営者としてやり方を伝えるのではなく、あり方を示し、社員にも経営者と同じあり方となってもらうように、今後接することが大事であると考えさせられた貴重な時間となりました。
スズキトラスト新潟 代表取締役 柴澤 仁子 氏(下越南支部)
・ 勝手な同友会をやってないか
・ 先ずは自分が変わらなくてはいけない
・ 経営者の生き様が、会社の風土を作り上げる
冒頭よりこれらの言葉から、自分はどうなのか?と心から考えさえられる理事役員研修でした。そして、「どうまとめていくか?という、そういう時代に入っていっている。」という言葉も重みを感じ、これから多くの情報を取り、自から学び、自ら伝えていく力を持つということの意味と大切さを学びました。
自分が考え、実践していることは本当に全てが繋がっているのか?改めて経営者としても、一人の人間としても在り方を見つめなおすきっかけとなりました。
人間尊重=幸福感。これが基本となり、経営者が自主・民主・連帯の精神を理解し、経営者の姿勢を確立することで社内の風土がつくられ、社員の自主性が生まれる。報告の中にあった、「第4層よりできている自主・民主・連帯の精神」を理解することで、初めて「労使見解」の対等な労使関係ができることを学びました。
㈱Creative.LAB 代表取締役 中村 修吾 氏(新潟支部支部長 セントラル地区)
今回の理事役員研修を受け感じたことは、「同友会運動」「労使見解」「自主・民主・連帯の精神」全てにおいて、同友会の長い歴史の上、洗練され、できたものなんだと深く感動しました。言葉一つひとつにもしっかりと意味があり、理解する事でより同友会を知る機会になり、今後とも学び自社に活かそうと思いました。
現代のように難しい経営環境下であろうとも、経営者は経営を維持し発展させる責任があり、真の人間尊重の経営が会社を維持発展させる方法なのだと感じました。
同友会を理解し学び、素直に謙虚に実践する事が一番の近道なんだと思います。ありがとうございました。